2007-09-01から1ヶ月間の記事一覧

キャラクターが病むということ

序文でも書いてあるように、「キャラクターが病む」という言葉の意味を探ることから、キャラクターの内面性についての考察を進めます。 まず、キャラクターとは何なのだろう。日本語にすれば登場人物になるこの言葉は、日常でもしばしば使われるようになった…

キャラクターが病むということ・序文

この記事を書いた時、自分の頭にあったのは、「公」と「私」みたいな使い古された道具で、邪悪ヒロインを説明できるのではないかということだった。 つまり、その二つの区別が存在しないことが邪悪ヒロインの持つ、ある種の純真さの理由であり、そういう日常…

花の名前

[rakuten:book:11483603:detail] 美しい音を奏でる張り詰められた琴の弦を思わせる、そんな緊張感のある作品だ。 物語は、主人公である蝶子とその想い人である小説家の京との関係を焦点として進んでいく。両親の死を乗り越え純真爛漫に京を慕う蝶子と、蝶子…

邪悪ヒロインという可能性

自主規制の中で、ヤンデレ達が散っていく悲しさ。まあ、弾圧すると結束が強くなるのは歴史が証明してるし、長期的に見ればヤンデレというジャンルにはプラスなのかもしれない。それ以前の大問題であるのも確かだけど。 しかし、実際に規制がかかる以上は、ヤ…

鈴の役割は一体何なのかという話

milkyhorse(Rosebud Side)さんのところが、『ONE』から『リトルバスターズ!』までのファンタジー世界観の考察という、実に興味深い試みを始めていますね。言葉の使い方一つ取っても、自分の考察とは厳密さが違って、ただただ関心するばかり。 私にとって…

DDD(1)

[rakuten:book:11989459:detail] この本は「面白い」本だ。当代きってのシナリオライターが書いた本作には、彼の物語における全ての要素――怪異・狂気・言葉遊び・倒錯などが全て存在している。 なのに、この作品は面白くない。それもたぶん確信犯的にだ。そ…

二巻の書評だけあるのも微妙かと思ったので、軽く書いてみた。

東浩紀を褒めてみよう。

ゲーム的リアリズムの誕生~動物化するポストモダン2 (講談社現代新書)作者: 東浩紀出版社/メーカー: 講談社発売日: 2007/03/16メディア: 新書購入: 34人 クリック: 461回この商品を含むブログ (462件) を見るこの記事を読んで、自分もオタ界隈の流行について…

他人の褌で、漫画を薦める

Landreaall 1 (IDコミックス ZERO-SUMコミックス)作者: おがきちか出版社/メーカー: 一迅社発売日: 2003/03/26メディア: コミック購入: 30人 クリック: 180回この商品を含むブログ (117件) を見る個人的に言えば、現在最も続きが気になる漫画は『Landreaall…

この夏、一番面食らったこと

『ドラクリウス』という作品があります。吸血鬼もので、バトルあって、特殊能力と銃も出てくるよ。という型月とニトロを足して8で割ったみたいなテキスト系のエロゲーです。 先に言ってしまえば、私はこの物語を全く評価していません。 別にストーリーの質…

信者としての務め

ライアーソフトの『腐り姫』のDL販売が始まりました。あんまり星空めておを賞賛するのも、ライアー信者としては微妙なところなんだけど、シナリオライターの中で、奈須きのこの才能とガチで張り合えるとしたら、この人しか思い浮かばないのも確か。*1 未プレ…

DDD(2)

DDD 2 (講談社BOX)作者: 奈須きのこ,こやまひろかず出版社/メーカー: 講談社発売日: 2007/08/10メディア: 単行本購入: 2人 クリック: 75回この商品を含むブログ (224件) を見る普通に評価すれば、一巻より面白いし、新伝奇としては知りませんが、ラノベとし…

空鍋という事象(2)

SHUFFLE!のアニメは、空鍋というヤンデレにおけるエポック的な存在を生み出したわけですが、実際のところ観賞すれば分かるように、ここで製作者側が意図したのは、明らかに『To Heart』以後に大量生産された似非ハーレムゲーに対する批判でした。 これはど…

自虐

いや、リトバスネタなんですけど。自分の考察にしたがって来ヶ谷シナリオを見直した場合、一度目のEDにおいて姉御は自分だけの「永遠の世界」にいることになるわけじゃないですか。*1 そうすると、オープニングが海に変わった後、理樹を中心とした「夢世界」…

「リトバスの世界観について」への補足

よく考えると、『ONE』を未プレイな方も沢山いるわけで、説明が足りなかったと反省しています。作品レベルとしての考察は、既にとっぽい。さんがまとめてくださってるので、自分の考えだけを述べると、現実への対抗軸として存在する虚構として、「夢世界」も…

リトバスの世界観について

どういう考察を書くか悩んだ末、少し作品レベルを超えた領域に踏み込むことにしました。*1 夢世界とは何か、という問いに答えるのがこの考察の目的なんですが、その前に一つの謎を考えてみたいと思います。 夢世界全体で最大の謎は、棗恭介の存在です。八人…

空鍋という事象

リトバスの考察に終始してたら、世のヤンデレブームに乗り損ねたと反省。こんな企画もやってることですし、その火付け役の一つである空鍋について少し書いてみようかと思います。 アニメ版SHUFFLE!をリアルタイムで見ていた人は分かると思うんですが、この…