来ヶ谷唯湖

色々と考えたり、他の人の考察を見たりもしたんですが、ループの発生が6月20日である理由を思いつく事ができませんでした。来ヶ谷の記憶の欠落の始まり、学校での花火、その翌日の告白、どれも順当にいけば20日前に起こる可能性のあるイベントです。
修学旅行の開始日説は、他のシナリオの日数を考えると統合性がとれません。あと思いつくのは、リトルバスターズの最終的な締め切りが6月20日だったみたいな内輪ネタの可能性でしょうか。*1
時間軸の乱れを主張して、一番説得力のある修学旅行開始日説を固持することも可能です。ただ、来ヶ谷エンディングを考えると6月20日以降に夢世界があった方が都合がよいので、何か理由があって本来のまき戻し時点より前にループが発生したという立場を取りたいと思います。
何処まで現実にあったかを考えれば、理樹に対するイジメの件までは現実にあったと考えています。理由は簡略ですが、八人の中に純粋な意味で理樹の不幸を望む人間がいないから、としておきます。
来ヶ谷シナリオには、彼女の記憶喪失の開始時期とループ開始の誤差、ループ現象、二つのエンディング、という三つの難題が存在します。
これらの問題を解く鍵は、当初の来ヶ谷唯湖の願い。作中において語られる彼女の願いは、理樹との日常の継続です。しかし、これは理樹との関係の深化と共に発生したものであり、それ以前の状態では別の願いが存在したと考えるのが順当です。
そして、その願いとは「忘却」ではないでしょうか。確固たる根拠があるわけではありません。しかし、シナリオ最終部で理樹との関係ついて語る彼女の台詞を考えれば、その類まれなる知性で夢世界の仕組みを悟った彼女が、リトルバスターズとの関係を無かったことにしたいと願う心理は十分に存在しえます。
この仮説から一つ目の問題を見れば、解答は明白です。来ヶ谷の記憶喪失とループ現象は、基本的に別個の事象であり、記憶の喪失は当初の願いから、ループは新たな願いから発生するので、時間に誤差が生じても不思議ではありません。
次に、何故にループという形を取るのか、ということです。これも語られた願いだけを考えると意味が分かりません。6月20日が修学旅行の前日でないなら、この日を連続させる理由が存在しないからです。
ですが仮説を用いれば、来ヶ谷の中で「理樹と日々を過ごしたい」という前向きな願いと「全てを忘却し、かつての一人の世界を過ごしたい」という後ろ向きの願いが拮抗したことで、夢世界に日々の停滞という現象を起こした。と説明することができます。雪や理樹の見る夢も、二つの相反する願いを叶えようとして夢世界が歪んでいるのを示しているわけです。
他のキャラの忘却は、ループの一環ではなく「忘却」の範疇だとした方が収まりがいいですね。永遠の世界と言えばそれまでですが、昼の放送が理樹以外に聞こえない事の説明を、来ヶ谷が全てを忘れていくように、周りも来ヶ谷の存在が希薄になっていくという現象の予兆と考えると、辻褄が合うのではないでしょうか。
最後に二つのエンディングの解釈です。仮説を用いれば、このエンディングは夢世界の中の出来事であり、来ヶ谷の願いが叶った結果の世界だと言えます。*2この世界は端的に言って、来ヶ谷だけの夢世界です。そして、この夢世界は現実で修学旅行を超えた後でも、継続していることが示唆されています。これは来ヶ谷の夢が半分しか叶っていない為でしょう。
つまり、来ヶ谷が夢から醒める為には、理樹と日常を過ごしたいという願いも叶える必要があるわけです。そして、その願いは本当の現実において叶っていくもの。ですから二週目において来ヶ谷は、三年の初夏に自ら目覚め、秋の告白につながっていくのだ。というのが私の考察です。*3
もし、初期のを見てた方がいたら、すいませんとしか言えないのですが、今度こそは自分なりに整合性の取れる考察をしたつもりです。これで許してくださると幸い。

*1:これぞ、という考えを持ってる人のコメントを待ってます。

*2:何故、二つの願いの内で「忘却」が優先されかと言えば、「継続」を叶えるには来ヶ谷の状態が手遅れだったからでしょう。六月初期の段階で前日の記憶が無いわけですから。

*3:もう一つの手としては、始めのを一年生、もう一つのを三年生の来ヶ谷が夢から醒めた場面だとする方法があると思います。これは統合性は取れるのですが、理由を説明できないのが難点です。「まあ、夢だからね。」理論とでも言うべきでしょうか。