能美クドリャフカ

このシナリオの考察は、基本的に2chのテンプレで問題無いと思うので、筋肉エンドとクドシナリオの方向性について書こうと思います。
筋肉エンドの一番の問題点は、これを正当な世界観に入れるべきかに尽きる。来ヶ谷唯湖が真人の洗脳にかかり難いという場面を見ると少し心惹かれる。
まあ、特定条件下なら鈴を含む八人の意思を操れるとするのは、ネタとして処理しないと収拾がつかなくなる設定だから、言われるまでも無いでしょうが全面カットとすべきですね。
では本題、このシナリオの不可解なところは、個別ルート前半で提示されるクドリャフカの多重国籍者としてのアイデンティティの問題を放棄して、唐突に過去の贖罪というメインテーマが現れることです。
ただ、これだけなら疑問はあるにしても理解不能とまではいきません。クドリャフカの悩みも彼女を縛る鎖であると解釈すれば、個別エンド時の彼女はそういう問題から自由な存在になったと言うこともできるからです。
ですが、リフレインエンドでのクドの台詞は、その解釈を許してくれません。帰る場所についてクドリャフカが語る時、それは理樹ではなく母国を指しているからです。理樹によって個別ルートが閉鎖される以上、クドリャフカの夢と現での隔絶を説明できる物語は、作品中には無いと言っていいでしょう。
この隔絶が意図的なものだとすれば、*1重要なのは語られた事ではなく語られなかった事なのだと思います。
これはクド個別ルートでの展開上の隔絶でも言えるんですが、個人と国家の関係は物語りえないという、そのまんまと言えばそのまんまのメッセージなんではないでしょうか。
CLANNAD』で「だんご大家族」をやった以上は、何か辞める前に言っとけよ。と思ってたところがあるので、かなり強引な解釈をした自覚はありますが、『ONE』からやってれば、「個人→家族→地域共同体→国家」という繋がりが麻枝准の中あるとは信じられないのも確かです。
ライターの方向から見ると、葉留佳シナリオと本質的には同じで、負け方の話なんだと思います。覆らない敗北があって、それにどう対処するかみたいな話。実にkeyっぽくないという意味で、これからに割りと期待してる。
もはや、考察ではないですね。来ヶ谷唯湖のリベンジではどうにかしたい。

*1:リフレインでのクドの台詞の変更が大事でないのは明白だと思う。