『ガンナイトガール』の感想と何か
- 出版社/メーカー: CandySoft
- 発売日: 2012/12/21
- メディア: DVD-ROM
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隅々まで神経が行き届いていると評せるほどエッジではありませんが、かなり丁寧に作られている感触がして、久々にエロゲーマーとしての寿命が伸びるのを感じました。
特に風祭志乃のシナリオはこの1ルートだけで元が取れると思わせるほどの並々ならぬ一品でした。
これは勝手な見方ですが、現在的な「属性」を中心としたエロゲのキャラ演出において最も美的なイベントというのは、そこで起こった諸々がそのヒロインの本質を完全に表象するようなもののことだと思います。
そこではヒロインに付与された「属性」たちが有機的に絡まりあい正しい位置につくことによって、ヒロインがヒロインたる由縁が鮮やかに開示されることになります。言ってしまえば、その場面について説明することが、ヒロインの魅力を説明することと近似するようなイベントこそが、一つの理想としてあるわけです。*1
しかし、風祭志乃のシナリオで目指されたのはそういう方向性ではなかったように思います。もちろん、彼女に属性が無いというわけではなくて「ツンデレ」とか「動転すると方言が出る」とか「実はメンタルが弱い」とか色々あるんですが、こういった要素は劇的に示されるというよりは、個別ルートに入ってからずっと主人公の前に現れ続けるんですね。
つまり、風祭志乃は「ツンデレ」で「動転すると方言が出る」「実はメンタルが弱い」キャラとして主人公に認知され、「ツンデレ」で「動転すると方言が出る」「実はメンタルが弱い」キャラとして主人公の前で振る舞い、「ツンデレ」で「動転すると方言が出る」「実はメンタルが弱い」キャラとして主人公と共にある決断を下すわけです。
それを可能にするためにライターは、執拗に思えるほど細部が異なる似たようなイベントを重ねていくという手法を取っていて、2012年にこういうこと出来るだなと本当に感心させられました。*2
あとヒロインの5分の4にヤンデレの気があるので、そういうの好きな方にお勧めです。
主人公と幼馴染たちとの掛け合いは愉快だし、ヒロインはそれぞれにキャラが立ち、シナリオも現在のストーリー重視型のエロゲの水準は間違いなく超えていて、プレイした後に十二分な満足感が得られる作品なので*3、気がむいたらやってみてはいかがでしょうか。