『LOVELY×CATION』の感想にかこつけた何か

LOVELY×CATION2 初回限定版

LOVELY×CATION2 初回限定版

言い訳も虚しいで、さっさと本題に入ります。

アベンドとかプレゼントによるルート分岐とかはまだ全部押さえてないのですが、とりあえずルートそのものは終えたので、感想なのか何なのか分からないものを。
一月開けずに1と2をプレイしたのですが、1をプレイしたときの驚きが、2でも継続しているかなというのが個人的な印象だったりはします。*1最初にプレイしたときに思ったのは、これは違う世界線のゲームなのではないかということでした。
もちろん、今までにも可愛いヒロインと付き合ってセックスすることに特化した作品という意味では『Sugar+Spice!』とか『こいびとどうしですることぜんぶ』とか『ラブラブル』とか、半分以上エロゲーマーから足を洗っている私でも簡単に数本はあげられる程度には存在していて、それ自体では珍しいものではないでしょう。
しかし、このゲームはそれらとは質的な違いがあるように思います。何が違うかといえば、時間の経過の処理がある部分で極めて非テキスト的なわけです。
非テキスト的では分かりにくいので具体例を出すと、ソフトハウスキャラの『ウィザーズクライマー』において、時間の経過というのはテキストの進行より先に、パラメーターの上昇と結びついています。この作品ではシュミレーションゲームとしての大きな枠組みの中で時間というものは処理され、テキストというものは要所要所でその処理を彩る二次的なものに過ぎません。『LOVELY×CATION』は日々の中でアイテムを手に入れてパラメーターを上げていく作品なので、ある意味ではこの系列に属しているわけです。
ですが、私が主にやっているシナリオ重視型のエロゲにおいて特に顕著なように、多くのエロゲにおいて時間の経過はテキストの進行と結び付けられてます。もちろん、カレンダーや背景CGの変更とかで、時間の経過というものは補強されているんですが、究極的にはテキストを進めないと時間が前に進まないという状況は、エロゲをプレイしたことがある方なら容易に想像がつくものなのではないでしょうか。
これはどちらが良いということではなくて、エロゲーの中にはそういう表現の幅がありうるという話です。製作者は「宇宙は広大だ」とテキストで書く代わりに、全1万マスからなる宇宙フィールドとターンごとに1マスしか移動できない宇宙船からなるミニゲームをプレイヤーにプレイさせてもいいわけです。*2
ただ、ここ数年の間、エロゲの主流はシナリオを重視した、テキスト表現へ寄ったものでした。私の守備範囲の狭さもあるんでしょうが、そこにひょっこり現われたように見えたのが『LOVELY×CATION』だったわけです。
いちよう断っておくと、別に私は『ときめきメモリアル』的なものがエロゲで復権したとか言いたいわけではないです。『LOVELY×CATION』のパラメーター要素というのは、その全てを選択肢に置換することが容易の想像できるレベルの、極めて形式的なものに過ぎません。*3ヒロインと付き合うだけなら、その尻を追いかけていれば、ほぼ間違いなくルートに入れる程度のものなわけです。
では、何でそんなものがあるかというと、おそらく時間の経過を水増しするためなんですね。このゲームにおいて作中における経過時間は一月弱なんですが、ルートに入ってからも、パラメーターが上がるだけでイベントが無い日とかあるんですよ*4これをそのままテキストで時間処理をするエロゲでやると、ちょっと厳しいということは想像にかたくないわけで、それを可能にするためのシステムとして、あのパラメーター周りというものはあるのだと私は思っています。
こう書くと、『LOVELY×CATION』が手を抜いているような感じになってしまうのですが、実際にプレイしたときの印象はその真逆でした。つまり、『LOVELY×CATION』が普通なのであって、他のテキストで時間を埋めようとした作品たちが偏執狂的だったのではないかという気すらしてくる。違う世界線というのは、そういう意味であって、エロゲというものの可能性を感じさせてくれる一品でした。*5


すっかり鈍って文章の閉じ方が分からなくなったので、ここら辺で〆。

*1:ラブミーコールなどの洗練はあっても、本質的な進歩などは存在していないということでもあるけど

*2:蒼天のセレナリア』のミニゲームクソゲーだとは思うが

*3:ゆるい『ペルソナ3』のコミュ攻略だと考えれば、ほぼ間違いない

*4:登校とか昼休みの会話とかは存在する

*5:それに私がついていけるのかは判然としないけど