『殻ノ少女』捕捉

裏テーマうんねんのところが友人にとても評判が悪かったので、捕捉を少々。
私がこの作品で一番印象に残ったのは、綴子だったりします。彼女は露骨な死亡フラグとして左手の薬指に指輪をはめることになっていて、それも象徴的ではあるんですが、もっと根本的な問題として綴子を抱く/抱かないに関わらず、その死は絶対的に確定しているわけです。
これは他のヒロインに対しても言えることで、このゲームでヒロインとエロシーンに突入するために一つとしてフラグを落とせない仕様になっていて、これ攻略サイト見ないでやると結構めんどくさいんですけど、その努力の割にエロシーン後にすぐヒロイン殺されるパターンが半分以上を占めている。メインヒロインの冬子にしても、彼女を抱いても/抱かなくても物語を進めていけば、彼女は車に轢かれるし、謎は全て解明されてしまう。
つまり、このゲーム基本的にヒロインとするかどうか、ストーリーと全く関係ないんですね。これは泣きゲーはもちろんこと、近年のシナリオに重心を置いたエロゲーからしても、かなり特異なものだと思います。前者においてはエロシーンとヒロインの救済というのは裏で不可分に結びついているし、後者にしても最終的に統合EDに突入するにしろ、個別シナリオにおけるエロシーンの意味はきちんと存在します。
例えば同メーカーの『カルタグラ』にしても、ヒロインと性的関係を結ぶかどうかはシナリオの分岐と明確に関わっている。そこから進んで、あえてここまでシナリオとエロを乖離させた形式を取るのは、エロゲにエロいらない云々とは違った意識から来ていると考えられます。
これを裏テーマとして仮に「欲望の空転」と名づけてみた。という話でした。お粗末