近頃読んだものを適当に

謹賀新年。
一本目の感想を書きたかっただけなんですが、字数がさみしいので三本ほど。

  • 『チマちゃんの和箪笥』

チマちゃんの和箪笥 (マーガレットコミックス)

チマちゃんの和箪笥 (マーガレットコミックス)

この三ヶ月読んだ中で、一番印象に残っている漫画はコレなんですが、果たしてこの漫画面白いのかどうか、いまいち自分でも自信を持てなかったりします。
この作品には感想を言おうとした人間の口を重くさせる類の自律性みたいなものがあって、私はそれを良しとしました。ただ、その自律性を支えている「きもの」と「少女漫画」という二つの要素から紡がれた作品世界は、どうしようもなく狭いものであることはまた事実です。
それを象徴するのが漫画の導入部の最後の方に置かれた主人公の

大学卒業後
私は一年間染色を学び
二年かけて世界中の
織り物の産地を訪ね歩き
一年間会社で働き……

ふとしたけっかけで
小さな店を持つことに
なるのです

というモノローグかと思います。私自身これを読んだとき、精神的な落差のようなものを感じずにはいられなかったのですが、これを受け入れることが出来る人間が読めば、この作品は間違いなく傑作です。
「きもの」が喚起するイメージと「少女漫画」が積み上げてきた規範がおりなす綾に、はっとするほど上品でありながら同時に哂うしかないほど現実離れした世界に、もし興味があれば読んでみるのも一興かとは思います。

三国志ジョーカー 1 (ボニータコミックス)

三国志ジョーカー 1 (ボニータコミックス)

実は孔明は未来人だったのです。という漫画。そして、この短いフレーズによって普通想像される内容の半分以上を裏切ってくる漫画。一巻では「私が従うのは神の言葉だけです」と「私は無神論者ですよ。強いて言うなら、私がいう神というのは私自身のことです」のコンボを決め、ラスボス感満載だった孔明さんが、最終巻では粗末な服を着て火炎瓶製作に勤しむところまで落ちぶれるのを楽しむのも可。

  • 『愛しの可愛い子ちゃん』

愛しの可愛い子ちゃん 1 (りぼんマスコットコミックス クッキー)

愛しの可愛い子ちゃん 1 (りぼんマスコットコミックス クッキー)

女子高で「王子様」の役を振り当てられていた女の子に彼氏が出来て、「王子様」だった彼女も、彼女を取り巻いていた他の子たちも、変わらずにはいられなくて、というようなお話。おそらく、男性向けの雑誌でも似たような話は書けるだろうし、実際のところ一巻のストーリーだけを見れば目新しいものはないのですが、「百合」と称されるようなジャンルから、少しだけ自由であることがミソなのかなとは思います。そして同時に「少女漫画」からも少しだけ自由である。そして、潮ちゃんは可愛い。