魔法科高校の劣等生〈1〉

魔法科高校の劣等生〈1〉入学編(上) (電撃文庫)

魔法科高校の劣等生〈1〉入学編(上) (電撃文庫)

どうも皆さん、お久しぶりです。色々と精神的な負債が溜まっているのですが、ここは潔く徳政令の発動して、心機一転しようかと思います。
というわけで、売れてるらしいので読みました。
そこそこ面白かったのですが、私は世紀末に一世を風靡したようなラノベを愛好したロートルなので、やっぱり趣向のズレを感じたりはしました。
具体的に例をあげると、作中に「梓弓」という名前の魔法が出てくるのですが、自分の感覚ではこの設定世界でその名称はありえないんじゃないかと思ったんですね。一巻しか読んでないので、もしかしたら違うのかもしれませんが、おそらく「梓弓」というのは家系で伝承していく類の特殊な魔法なんですよ。けど、「梓弓」という名称はどうしたって「渡り巫女」と結びついてしまうわけで、その名前を用いることは間接的に「サノバビッチ」と名乗るようなもんだと思うんですね。*1
もちろん、これはそこそこ極論なんですけど、話の節々から感じたのは、およそ魔法と呼ばれるものが歴史的に持つ陰性を意図的に継承しない作品だな。ということです。*2
例えば、主人公の師匠として忍者の家系の人が出てきて、忍術というのは魔法であって、フィクションの中の方が実態に合ってたんだ。と書かれるんですが、フィクションの方が正しいとするなら、忍者の家系というのは代々「汚れ仕事」をやってきた人たちなわけで、一部の人から蛇蝎の如く嫌われてることは想像に難くないんですが*3、そういう負の側面は少なくとも一巻の範囲では書かれない。
その代わりに何が物語で問題されるかという「一科生」と「二科生」に代表される、たかだか百年の上に創り出された制度なわけです。
このシンプルさを良しとばかりも出来ない自分の感性に、時の流れの残酷さを感じたので少し書きました。あと、同じ理由から、別に日本の地名使う必要無いよな。とは思った。

*1:もちろん、梓巫女だってピンキリだけどイメージとしてはね。

*2:非・伝奇的とでも言うか

*3:犬神憑きの家系とかも、存在するなら恐らくそうだよね。