ソルト

一ヶ月ほどご無沙汰していましたが、このままダラダラいくと本当に書かなくなりそうなので、手軽に映画の感想など。
この映画はアンジェリーナ・ジョリー扮するイヴリン・ソルトを主人公にしたアクション映画で、たぶん企画の時点では『ボーン・アイデンティティ』的なイメージで進められたであろうことは想像に難くないのですが、実際に出来上がったのは女ジェイソン・ボーンというよりは女ジェームズ・ボンドであり、もっと言ってしまえば女ジョン・プレストンでした。*1
つまり、スパイものというよりはアメコミに近く、そう捉えて見るのであれば結構な面白さだとは思います。ソ連の極秘施設で訓練を受けたソルトの能力はちょっと人間の限界を超えた領域で、特技の近接戦闘はもはや近接戦闘という名の何かにしか見えません。一人でロシアの大統領を暗殺したり、少人数でアメリカ大統領を殺害したりと好き勝手に暴れ回っています。*2
こう書くと粗い映画のように感じるかもしれませんが、緊迫感こそないものの躍動感は存分にあり、ストーリーも後から考えるとツッコミどころは多々ありますが、見てる最中は結構引き込まれます。特にソルトの正体が定まるまではスリリングさは中々のものです。アクションシーンは決まってるし、娯楽作として必要なものは全て持っているのではないでしょうか。
ハリウッドのスパイ映画はソ連の崩壊以後、都合のいい敵を作り出せずに苦しんでいた面があるわけで、その解決策としてソ連を復活させるって最低の手ではありますが、都合の悪いところ全部共産圏に押し付けると、スパイ映画ってこんなに明快になるんだ。という意味では実によかったです。
映画のスリリングさを損なうので伏字にしておきますが、この作品はつまるところハリウッド版の仮面ライダーであり、敵の目標のレベルもそれに合わせて受け取るのが吉なんだと思いました。
そして、北朝鮮には一体何がいるのだろうか。続編に期待。

*1:いちよう脚本の人つながりではある。

*2:このときソルトは腹を撃たれた直後なので、本当の実力はもっと上だと推測される。