今回のベルセルクがとても良かったという話。

ヤングアニマルで連載している今回のベルセルクにちょっと感動してしまったので、一つ書いておこうかと思います。
今回の肝はなんと言っても、「何という赫灼たる混沌」でしょう。このセリフを教皇に言わせてしまう『ベルセルク』という漫画のポテンシャルに私は歓喜しました。*1
この作品世界において最も開けた心を持っているように見える教皇をもってすら、人と魔の共闘を混沌としか捉えられないという限界があって、その教皇の心情吐露の前にして、今だ底を見せないグリフィスという対比が完璧ですよね。
だって作中での共闘が軍隊という枠の中で行われいる以上、そこには何らかの秩序が存在しないというのはあり得ないわけです。それなのに教皇が何故に混沌を感じるかと言えば、そこに自分の知っている秩序が存在しないからなんですね。
これは「人と魔」を「西洋と東洋」に置き換えると分かりやすいと思うんですけど*2教皇の発想っていうのはオリエンタリズムの外には出れていない。
けどグリフィスは違うわけです。今だ語られざる彼の内面は、暗黙裡にその思考が教皇と同調するものではないことを示している。それは同時に彼の王としての器の大きさ、「人と魔」「西洋と東洋」を区分しない新しい秩序の創造者としてビジョンでもあるわけです。
かつて二つの世界を自らのものにしようとしたアレキサンダー大王は道半ばで倒れましたが、さてガッツという凶手に命を狙われるグリフィスの野望はどこまで広がるのでしょうか。実に続きが楽しみですね。
適当に予想を書けば、狂帝は喰われてしまうのかなと妄想してる。

*1:グリフィスが言う可能性を考えていた。

*2:クシャーン帝国が極めてアジア色豊かなのは偶然ではないはず。