『ダークナイト』の変わりに『Re:Genesis』サードシーズンの感想を今更ながらに。
ネットでも私の個人の周りでも、評判の高い『ダークナイト』を見てきました。実に良く出来た映画ですね。この作品全体を貫く闇の気配の中から一筋の光明が浮かび上がる、ジョーカーとの最後の対決シーンは実に素晴らしい。
まあ、この映画の感想については私以外に、いくらでも深い読みをしている方がいらっしゃるので、映画のエンディングを見ながら思い出した『Re:Genesis』の三期目について書き散らします。
この海外ドラマは要約すると、天才分子生物学者デビット・サンドストロームが世界でおきる生物学的な事件を快刀乱麻の活躍で解決するという筋書きものなんですが、二期目の衝撃のラスト*1を経て、突入した三期目がビックリするぐらい暗いんですよ。
主人公達は、自分達の遭遇したテロの後遺症に悩まされているし、テロの真相は国防という名の下に闇の中に葬られ無力感に苛まれている。*2
そして次々と起こるバイオテロを解決しながらも、彼らは事件の真犯人に辿りつくことが出来ず、受身にならざるえない。
天才である主人公の口から飛び出す台詞の数々は、もはや如何なる存在も科学技術が産み出す様々の問題を管理することは出来ないこと、そして結果として起こるバイオテロを未然に防ぐことの不可能性を執拗に訴えてきます。
この作品もまた、個人がテロと戦うことの困難さと先行きの見えない不安、そしてその領域で正常な判断を保つことの難しさを説いている*3。
だけど『ダークナイト』と『Re:Genesis』には一つ大きな違いがあって、それは国家の存在です。
『Re:Genesis』の中では国家が不透明で、時に国民の利益を守ることを放棄するような存在として描かれているんですが、『ダークナイト』ではそれが希薄だなとエンディングを見ながら思いました。
もちろん、彼がそうなんだろうけど、彼に託された多くのイメージの中で、それはやっぱり後ろの方に来ると思うわけです。*4
彼は何よりもまず、誇り高い個人だった。私はそういう風に読んだんですが、そこら辺に国柄の差が出るのかもしれません。
とりあえず『ダークナイト』は今年度を代表する洋画だと思うので、見てない人は是非みましょう。
追記:ジョーカーについて無視かよ。と言われたので少し書くと、あれは完璧なモンスターですよね。理解不能性の塊みたいなもんで、よくもまあ表現できたものだと感心しました。だって船の爆破スイッチ自分でも持ってるんだもんね。
もちろん映画の美味しいところ大体、ジョーカーが持っていくわけだから、この映画について語るのにジョーカーに触れないのは不当です。反省。