漫画ナツ100で挙げたやつに軽い紹介文を付けてみる(2)

これHPというよりLPが削られる作業ですね。

半神 (小学館文庫)

半神 (小学館文庫)

半神,萩尾望都
凡人の一万文字より天才の16ページ。とは言え、これを心底分かったと思うためには、少女漫画読みとして一定のスキルがいるのも確かなので、この漫画から少女漫画に入るのはお勧めしません。ゴースト・ラプソディー,山下和美
天才柳沢教授の生活』で有名な作者のコメディもの。かつて大ファンだった歌手の幽霊に取りつかれた女性が自分の本当の生き方を見出す話+α。この人、ストーリーものを描かせても面白いけど、やっぱりオムニバス形式が凄く合ってるんだなと納得できる構成だと思う。天才ファミリー・カンパニー,二ノ宮知子
天才が周りに突如現れた変態奇人に生活をメチャクチャにされながらも、凝り固まった自分の世界を広げていく話という意味では同じ作者の『のだめカンタービレ』と類似点が多いんだけど、こちらの方が混沌としてます。
リストランテ・パラディーゾ (f×COMICS)

リストランテ・パラディーゾ (f×COMICS)

リストランテ・パラディーゾ,オノナツメ
こういう歳の取り方を男としてはしてみたいですが、日本人には無理な話なんだろうなぁ。老眼鏡紳士の老いてなお失われない艶、こういう色っぽい男を描くのが作者は実に上手いですね。いちようイタリアのレストランで老眼鏡の紳士達に囲まれる逆ハーものなのかな、エピソード単体の出来がいいのでそんな感じはしませんが。
夢幻紳士 (怪奇篇) (ハヤカワコミック文庫 (JA889))

夢幻紳士 (怪奇篇) (ハヤカワコミック文庫 (JA889))

夢幻紳士 怪奇編,高橋葉介
ここから暫く怪奇もの。怪談ものを描かせたら高橋葉介の右に出るものはいないと言ったら流石に言葉が過ぎるけど、三本の指には入るでしょうね。筆を使った画面がそういう話と実に合うんだ。
東京赤ずきん 1 (バーズコミックス)

東京赤ずきん 1 (バーズコミックス)

東京赤ずきん,玉置勉強
けっこう色々な雑誌を転々とした東京を舞台に不死身の少女が活躍する暗黒童話。エロとグロが満遍なく盛り込まれた作品です。個人的には淫魔を逆に犯り込める話が好き。
羊のうた (第1巻) (バーズコミックス)

羊のうた (第1巻) (バーズコミックス)

羊のうた,冬目景
イエスタディをうたって』と並ぶ作者の代表作。作品全体を流れる緩やかな絶望の基調に魅了された人も多いのではないでしょうか。いちよう吸血鬼ものなのかな。大正を舞台したミステリー作品『幻影博覧会』もお勧めです。
妖幻の血 1 (ガンガンコミックス)

妖幻の血 1 (ガンガンコミックス)

妖幻の血,赤美潤一郎
誰が見たって冬目景沙村広明の影響を強く受けてるのが分かる作風ながら、それを踏まえて独自の世界を築き上げているのだから才能という他ないでしょう。自らの血の中に双頭の大蛇を飼う青年と、その血肉に魅せられた二人の人ならざる少女たちを中心に描かれる伝奇もの。陰惨な雰囲気とその中に突如現れる独特のギャグ、この配分のバランスが何とも言えぬ味を出してます。汝、神になれ鬼になれ,諸星大二郎
とりあえず「生命の木」かなと思ったもので。けど妖怪ハンターシリーズで読むなら「生命の木」が収録されてる地の巻より、続きもので構成されてる『妖怪ハンター 天の巻』の方が入りやすい気はします。
月夜烏草紙 花とゆめCOMICS

月夜烏草紙 花とゆめCOMICS

月夜烏草紙,及川七生
まだ江戸の気配の消えきらない明治の東京を舞台に、女学生と彼女を気に入った妖怪の青年がおりなす伝奇物語。人間と妖怪の恋愛を描いた個別のエピソードでは前半の方が好きなんだけど、漫画としては後半になる方が読みやすくなるので、そこら辺が難しいですね。最初が特にもたつくから通しで読む漫画な気はする。
妖の寄る家 (ヤングキングコミックス)

妖の寄る家 (ヤングキングコミックス)

妖の寄る家,宇河弘樹
朝霧の巫女』の前夜を描いた表題作三篇と、七本の読み切りからなっています。色々と挑戦している読み切り作品を楽しいですが、やはり表題作が面白い。
仙木の果実 (電撃コミックス EX)

仙木の果実 (電撃コミックス EX)

仙木の果実,八房龍之助
上記の怪奇もの等が日本を舞台にする中、これは西洋を舞台にした作品ですね。まあ、姉妹作に日本を舞台にした『宵闇眩燈草紙』もあるぐらいなので、気にするほどでもないですけど。救いようの無い話をポップ?な絵柄で軽妙に流していく伝奇アクションもの。
プリンセス・プリンセス (1) (ウィングス・コミックス)

プリンセス・プリンセス (1) (ウィングス・コミックス)

プリンセス・プリンセス,つだみきよ
こんなにかわいい子が女の子のはずがない!全寮制の男子校で女装して慰安を行う「姫」に選ばれた三人の少年を中心にしたコメディ漫画。同じ世界観を共有した半陰陽の少年を主役したラブコメ革命の日』も、これが楽しめたら余裕かな。ちなみに相方は竹下元総理の孫。
シャカリキ! (1) (小学館文庫 (そB-12))

シャカリキ! (1) (小学館文庫 (そB-12))

シャカリキ,曽田正人
言わずと知れた自転車漫画の金字塔。内容も最高に熱いですが、凄まじいペースで洗練されていく絵柄も楽しみどころの一つかと思います。同じく神に選ればれてしまった人々を描く『め組の大吾』『昴』も傑作。
ハジメルド物語 (Beam comix)

ハジメルド物語 (Beam comix)

ハジメルド物語,竹本泉
こんなことなら『ねこめーわく』出なければ(ry なんで少女漫画なのに舞台が原始時代なんだろう。その答えはただ一つ、作者が竹本泉だから。癒し系というよりは脱力系の漫画。気に入ったら適当に他のも読んでみよう、いつの間にか表紙を見るだけで作品の良し悪しが判断できるレベルになってるはず。*1
甲子園の空に笑え! (白泉社文庫)

甲子園の空に笑え! (白泉社文庫)

甲子園の空に笑え!,川原泉
空の食欲魔人』と悩んだんだけど、甲子園の季節ですからね。作者のスポーツもの三部作。耳タコでしょうがフィギュアスケートものの収録作である「銀のロマンティック・・・わはは」は名作です。何故だか映画化もした『笑う大天使』も面白いよ。
目隠しの国 (1) (花とゆめCOMICS)

目隠しの国 (1) (花とゆめCOMICS)

目隠しの国,筑波さくら
ふとした拍子に未来が見えてしまう少女と触ったものから過去が見えてしまう少年の恋愛を描いた作品。みんな幸せになればいいのに思ってしまうぐらい、登場人物がいい人ばっかりなんですよねぇ。特に親友のエリちゃんの男前っぷりは最高です。
M エム (愛蔵版コミックス)

M エム (愛蔵版コミックス)

M,桂正和
だってほら、桂さんの描く尻はジャスティスだから。桂正和が本気で寸止めエロを描いてみたよ!という作品。頑張らなくても使おうとすれば使えた気がする。使わなかったけどね!
ヤサシイワタシ(1) (アフタヌーンKC)

ヤサシイワタシ(1) (アフタヌーンKC)

ヤサシイワタシ,ひぐちアサ
この寂寥とした感覚、現在だけではなく未来永劫における喪失の前に、人は誰しもただ佇むことしかできないのだ。『おおきく振りかぶって』の作者の実験作。色々と考えさせれられる話。
バジリスク~甲賀忍法帖~(1) (ヤンマガKCスペシャル)

バジリスク~甲賀忍法帖~(1) (ヤンマガKCスペシャル)

バジリスク-甲賀忍法帖-,せがわまさき
山田風太郎の原作を漫画化しきった作品。この機会に一冊目に手をかけたら最後まで読んでしまいました。皆さんが言われてるように、一気に読んだ方が面白いです。
満月をさがして 1 (りぼんマスコットコミックス)

満月をさがして 1 (りぼんマスコットコミックス)

満月をさがして,種村有菜
余命いくばくも無い少女が死神の力を借りて歌手としてデビューする変身もの。作者の尽きることの無い挑戦心には頭が下がります。シビヤな設定の数々とそれをものともしないハッピーエンドが特徴でしょうか。りぼん連載なのにBLから百合まで盛り込んだ『紳士同盟†』の頭五巻が一番好きではあるんですけど。
観用少女 1 (ソノラマコミック文庫 か 38-1)

観用少女 1 (ソノラマコミック文庫 か 38-1)

観用少女,川原由美子
だって本当にあったら迷うことなく買うもんね。少女の姿をした美しい生き人形の周りで起こる人間達の悲喜こもごもを描いた作品。描かれる観用少女たちの美しい微笑が、この作品に無限の説得力を与えています。
東京BABYLON―A save for Tokyo city story (1) (ウィングス文庫)

東京BABYLON―A save for Tokyo city story (1) (ウィングス文庫)

東京BABYLON,CLAMP
「健康だけが全てじゃないけど、健康でなければ全てがないのよ」という台詞は読んだ時にハっとさせられた。作者の全作品を見渡しても、1,2を争うほど暗い作品ですね。今考えれば、時代を反映しているのかもしれません。陰陽師の少年を主人公にして描く東京の人々の人間ドラマ。
ヨイコノミライ! (1) (Seed!comics)

ヨイコノミライ! (1) (Seed!comics)

ヨイコノミライ,きづきあきら
オタクって何なの、マゾなの。と言われれば、肯定するしかないような気もします。オタクと呼ばれる人種の一人としては中々にイタイお話ではあるんですが、そういうのも結構みんな嫌いじゃないんだ。もうそんな頃は思い出せないから、非オタクの人が読んで面白いかどうかは保証しません。自己実現のために頑張ることの大切さを真正面から説いた作品ではある、ではあるんだけど・・・。
げんしけん(1) (アフタヌーンKC)

げんしけん(1) (アフタヌーンKC)

げんしけん,木尾士目
こんな大学生活をオタクとして送りたかったよ。上の作品で心が折れそうなったら、こっちで癒されればいいんじゃない。斑目蕩れー。作者の恋愛ものの秀作『四年生』『五年生』もお勧め。
エビアンワンダー 1 (IDコミックス ZERO-SUMコミックス)

エビアンワンダー 1 (IDコミックス ZERO-SUMコミックス)

エビアンワンダー,おがきちか
『ハニー・クレイ・マイハニー』でもいいと言えばいいんですが、傑作『Landreaall』の事を考えると、紹介するならこっちかなと。剣と魔法の中世ファンタジーを描かせたら、この人は天下一品だと思う。続編と合わせて全4巻、兄弟と愛と赦しの美しい物語。
最終兵器彼女 (1) (ビッグコミックス)

最終兵器彼女 (1) (ビッグコミックス)

最終兵器彼女,高橋しん
作者が、対象層を限定して描いたと言っている通り、この漫画に本当に響き合える時間は、あっという間に過ぎてしまうのだと思う。二十歳前に読めるなら読んでおくべきなのかな。物語を鳥瞰すれば、けっこう恋愛ものの典型ではありますよね。
Aqua 1 (BLADE COMICS)

Aqua 1 (BLADE COMICS)

AQUA,天野こずえ
近未来のテラ・フォーミングされた火星を舞台に、一人前の水先案内人を目指す少女と彼女の周りの人々の日常を描いた作品。説明いらないと思うんですが、続編には『ARIA』があります。この漫画が癒し系と言われる由縁なんだろうけど、卑怯なくらい完成された漫画ではあるよね。そこを超えた場所に、この作品のもう一つの魅力がある気はする。
幕張―千葉 (9) (ジャンプ・コミックス)

幕張―千葉 (9) (ジャンプ・コミックス)

幕張,木多康昭
最低のギャグ漫画ですね!もちろん誉め言葉です。自分を省みないというか、今でも県知事相手に喧嘩を売り続ける木多康昭がみんな大好き*2。ちなみに主人公はガモウひろし。ジャンプの限界を超えてしまったギャグ漫画とでも言うべきなのか。

その3へ

*1:当たり外れの大きい作家だとは思う。手堅くいくなら『さくらの境』とか『てけてけマイハート』かな。

*2:たぶんだけど。