「世界征服」は可能か?

こないだBSアニメ夜話に出てるオタキングを見て、何この死亡フラグと思ったものですが、ダイエットに成功しただけなんだとか。なかなか小説より奇なりとはいかないものです。
さて、誰でも一度くらいは世界中の人間を自分に跪かせたいと思うもの。もしもの為に失敗者に学ぶのも悪くない、そういう考えの方にはこの本はお勧めできません。
多くの人のご想像通り、過去の作品をおちょくて笑いを取る『空想科学読本』的スタンスの本です。ただ、読本より娯楽としては劣る感があるのも確か。小ネタとしてのレベルはむしろ上くらいだとは思うんですが、いかんせん悪ノリ度が圧倒的に足りません。
例えば

交通の便のよい、みんなが集まりやすい場所がいいですね、おしゃれな街は家賃が高いので、そこそこの場所、東京で言うと、阿佐ヶ谷や高円寺あたりでしょうか。

これは見てのとおり、悪の秘密基地に適した不動産物件の説明です。まあ、人の集まりやすい秘密基地とか家賃みたいな言葉に、クスリと来ないわけではないですが、ここでさらに図でも付けて秘密基地に最適な立地条件を妙に細かく説明したりすると、もう一笑い狙えるんじゃないかと思うわけです。こういう一押し足りないところが所々にあり、「ヨミさま人生すごろく」とか秀逸なネタもあるだけに、弾けきれなかった印象の残る本ではあります。
ただ、新書として面白い部類に入るとは思うので、たまにはラノベを止めて軽く教養の香りを感じてみたい方や、悪の秘密組織という言葉に惹かれる方は買っても損はない一冊。