このマンガが凄いから読め!(仮称)γ版・2010

これで月四回目と。このマンガが凄いから読め!(仮称)γ版・2010のお誘いを受けたのでギリギリですが参加。今年は、守りに入ったというか新しい漫画にはあまり手を出さなかったので、保守的な感じになってしまいましたが、自分に正直に行く企画ですから、気にしないということで。
一位『トラウマイスタ

トラウマイスタ 1 (1) (少年サンデーコミックス)

トラウマイスタ 1 (1) (少年サンデーコミックス)

やっぱり今年はコレですね。最初こそ低調なもののライバルであるダヴィンチが出てきてからアクセルがかかり、最終的には行くとこまで行ってしまったという感じです。
ラストはそれほど関心しなかったのですが、「アクム」の回周辺のエピソードだけで、一位を取るに値する展開かと。読めば最低でも一回、予断を根底から覆されるはずです。
熟練した漫画家の作品では味わえない、本当の意味でどこに行く付くのか分からないハラハラ感は、今年一番の面白さでした。
二位『医龍
医龍 21 (ビッグコミックス)

医龍 21 (ビッグコミックス)

去年も入れたのですが、今年も面白かったのだから仕方が無い。天才外科医・朝田龍太郎の活躍から始まった物語は、21巻を数えるに至って天才から天才が去った後どうするべきかが描かれるところまで行き着きました。
長編の中で積み重ねられた物語たちが幾重にも重なりつながっていく素晴らしさ。そして何より、今まさに進行している怒涛の展開。勿体無いので詳しくは書きませんが、まさか、そんなことがありえるなんて。来年が実に楽しみな漫画です。
三位『虫と歌』
虫と歌 市川春子作品集 (アフタヌーンKC)

虫と歌 市川春子作品集 (アフタヌーンKC)

新進気鋭の漫画家・市川春子のデビュー作。アフタヌーン四季賞を受賞した表題作をはじめとして、四本の短編全てが悲しさと詩情を含んだ美しい物語に仕上がっています。絵には癖がありますが、作風には合っているんじゃないでしょうか。
私のお勧めは、連投で肩を壊した高校生と、よく分からない生き物の生活を淡々と描いた「日下兄妹」でしょうか。全体を通してのコマの明暗の使い方がとても印象に残る作品でした。表題作の「虫と歌」はアイディアからして普通ではちょっと思い付かない一品だと思います。
四位『しゃにむにGO
しゃにむにGO 第32巻 (花とゆめCOMICS)

しゃにむにGO 第32巻 (花とゆめCOMICS)

追いかけてきた物語が見事な完結を迎えるのは嬉しくも寂しいものです。内省の描写を得意とする少女漫画と、メンタルスポーツと名高いテニスとの幸せな調和。
孤独なコートの中と、かけがえのない仲間のいるコートの外を行き来しながら、成長していく登場人物たち。特に主人公の一人である滝田留宇衣が自分の限界を超えていく様は感動的でした。
描き切ったという表現のピッタリと来る、そんな結末を迎えた漫画だと思います。
五位『ONE PIECE
ONE PIECE  1 (ジャンプコミックス)

ONE PIECE 1 (ジャンプコミックス)

説明不要の今日本一売れているであろう漫画。悔しい、けど面白い。作者いわく現在中盤の盛り上がりということですが、いや圧倒的ですね。
読んでない人にこの面白さを説明するなら、普通のバトル漫画というのは、味方が数人いて敵が数人いると、大体が一対一で戦うわけです。同時に戦われていたとしても、基本的には一勝負ずつ描かれていきます。
ですが、『ONE PIECE』は本当に並列で戦ってるんですね。一回の連載ごとに何個もの勝負が同時に描かれていく、そのコマに満ちる莫大な情報量の凄さと言ったら。売れてる漫画には訳があるってことでしょうか。