文学少女と死にたがりの道化

長いものには巻かれるたちの人間として、とりあえず出てる分を全て買ってきたので、感想など書こうかと思います。
「青春小説」それ以外の言葉が浮かばない自分の読解力の無さが悲しいですね。この物語は『人間失格』になぞらえて語られるキャラクターの心情吐露を、どの程度まで共感出来るかに掛かっているのに、私はそれに失敗したようです。
彼らの後悔や慙愧の念を直感的に把握するには、鏡合わせのように語られる二つの悔恨が、あまりに観念的過ぎるという印象がどうしても拭えなかった。*1
特に大人たちが軽薄にみえてしまって、どうしても受け付けなかったですね。むしろ彼らこそが、この物語のもう一人の主役を救う立場にいるべきだろうと考えてしまいました。
学園生活を描く小説において「大人」は異物として機能するはずだという予想を、すっばり外されたので愚痴ってるだけ気もしますが、個人的には消化不良な感じです。*2
人間失格』をあたかも太宰の絶筆っぽく扱う叙述トリック風のところとかは嫌いではないですけどね。*3一巻目には色々と縛りが多いのも確かなので、次の巻に期待と。

*1:もう若くないってだけの事かもしれませんが。

*2:自分が読み間違ってる気も少しする。

*3:作中にも書いてるあるけど遺作は『グッド・バイ』